ソマティック心理カウンセリングとは?

身体の感覚から、心の内側にある「私」に出会う

「ソマティック(Somatic)」という言葉を聞いたことはありますか?

ソマティックとは、英語の soma(ソーマ)=「身体」 を語源とする言葉です。

ソマティック心理学やソマティック心理療法では、身体の感覚や生理的な反応を手がかりに、心と身体のつながりを大切にしながら、心身の変化をサポートしていきます。

例えば、緊張すると、

  • 肩がガチガチになる
  • 胸が苦しくなる
  • 喉が詰まる
  • 呼吸が浅くなる
  • お腹がギュッと縮む

このような身体の反応が起こることがあります。

ソマティックな心理カウンセリングでは、こうした反応を「ただの身体の問題」として終わらせるのではなく、

「今、身体で何が起きているのだろう?」

と、身体の感覚に丁寧に意識を向けていきます。

身体に現れている反応を入り口にすることで、頭では気づいていなかった気持ちや記憶、自分の内側にある思いに気づくことがあります。

身体の感覚から心の内側へ

例えば、人と話しているときに、

「なぜか胸が苦しくなる」

ということがあったとします。

「どうして緊張するんだろう?」
「相手に嫌われたくないからかな?」

と頭で考えることもできます。

でも、ソマティックなアプローチでは、まずその胸の苦しさそのものに意識を向けてみます。

「どんな感じがしますか?」

「重い感じですか? 苦しい感じですか?」

「その感覚は、少し動いたり変化したりしますか?」

そんなふうに、身体の感覚を焦らず丁寧に感じていきます。

すると、身体の感覚の奥から、

「怖い」
「嫌だと言えない」
「我慢しなきゃ」
「助けてほしい」

など、自分でも気づいていなかった思いが出てくることがあります。

身体は、ときに言葉になる前の心の状態を教えてくれる大切な手がかりになります。

そこで出会う「パーツ」

ここで、私がセッションの中で大切にしているのが、**パーツ心理学(IFS:Internal Family Systems)**という考え方です。

IFSでは、私たちの心の中には、さまざまな感情や役割、記憶などを持った「パーツ」が存在すると考えます。

例えば、

「失敗しないように頑張る自分」

「嫌われないように相手に合わせる自分」

「もう傷つきたくないと身を守る自分」

「本当は怒っている自分」

「誰かに助けてほしいと思っている自分」

などです。

これらは、どれも「本当の自分ではないから、なくしてしまおう」というものではありません。

その一つひとつが、その人の人生の中で何かを守ろうとしてきた、大切な自分の一部だと考えます。

そして、パーツは頭の中で「人格」のように感じられる場合だけではありません。

セッションでは、

「胸がモヤモヤする」

「喉が詰まる」

「お腹が硬くなる」

「肩に強い力が入る」

など、身体の特定の場所の感覚として、あるパーツの存在を感じることもあります。

だからこそ、ソマティックなアプローチとパーツ心理学は、私のセッションの中で自然につながっていきます。

IFS(パーツ心理学)を使った関わり

パーツに出会ったとき、私はそのパーツを「変えなければいけないもの」として扱いません。

例えば、

「すぐ緊張してしまう自分」

がいたとしても、

「どうしてそんなに緊張するの?」
「もっとリラックスしなきゃ」

と否定するのではなく、

「このパーツは、何を守ろうとしているんだろう?」

と、その存在を理解するところから始めます。

もしかしたら、そのパーツは、

「失敗したら怒られる」

「ちゃんとしないと嫌われる」

「人に迷惑をかけてはいけない」

という経験の中で、一生懸命に自分を守ってきたのかもしれません。

だからこそ、そのパーツの行動を無理に変えようとするのではなく、

「今まで頑張ってくれていたんだね」

と、そのパーツの存在を尊重しながら関わっていきます。

そして、そのパーツが抱えている感情や記憶、身体に現れている反応などを丁寧に扱い、もう以前のように頑張り続けなくてもよい状態へ向かうことをサポートします。

私は、パーツを「解放してなくす」のではなく、そのパーツが抱えていた負担から少しずつ自由になり、自分の中で安心して存在できるようになることを大切にしています。

実際のケース①

お話を伺っている最中、クライアントさんが無意識に手を前へ伸ばすような動きを何度もされていました。

その動きに一緒に意識を向けながら、身体にどんな感覚があるのかを丁寧に感じていきました。

すると、幼い頃、お母さんが遠くへ行ってしまった場面で、

「行かないで」

と腕を伸ばしていた記憶が自然と思い出されました。

そのとき表現できなかった気持ちや身体の反応を、安全な場で丁寧に扱っていくことで、大きな心身の変化につながりました。

実際のケース②

対人トラブルについてお話しされている最中、クライアントさんが無意識に胸へ手を当てていました。

「胸の下は、今どんな感じがしますか?」

と、その感覚に意識を向けていくと、胸の中にモヤモヤした感覚がありました。

その感覚を丁寧に辿っていくと、それは子どもの頃、友達に「やめて」と言えず、ずっと我慢していた小さな自分の怒りにつながっていました。

そこでIFS(パーツ心理学)のアプローチを用いて、その怒りを抱えていたパーツに丁寧に関わっていきました。

すると、胸のモヤモヤが和らぎ、自然と自分の言いたいことを伝えられるようになりました。

その後、対人トラブルも解消され、

「以前より声も出しやすくなりました」

とご報告をいただきました。

※これは個人のセッション事例であり、すべての方に同様の変化が起こることを保証するものではありません。

RAS®との違い

IL FAROでは、ソマティック心理カウンセリングのほかに、RAS®に基づく感情消化・才能開花セッションも提供しています。

RAS®セッションは、ソマティック心理療法そのものではありません。

RAS®では、筋肉反射などを用いながら、本人が自覚していない信じ込みや感情にアプローチしていきます。

一方、ソマティック心理カウンセリングでは、会話だけではなく、身体に現れている感覚や反応にも丁寧に意識を向けながら、その人自身の内側にある思いやパーツに気づいていきます。

アプローチは異なりますが、IL FAROではどちらのセッションでも、

「今、この人の身体と心の中で何が起きているのか」

を大切にしています。

そのため、RAS®のセッションにおいても、身体の感覚や自律神経の状態を大切にした、ソマティックな関わり方を取り入れています。

心だけでも、身体だけでもなく

私たちは、つらいことがあると、

「もっと前向きに考えなきゃ」

「気にしないようにしよう」

「もう過去のことだから忘れよう」

と、頭で何とかしようとすることがあります。

けれど、頭では「もう大丈夫」と思っていても、身体が緊張していることがあります。

そのとき、身体に起きていることにも目を向けてみる。

胸の苦しさ、喉の詰まり、肩の緊張、お腹のこわばり。

そこにある感覚を無理に変えようとせず、少しずつ感じてみる。

すると、その身体の感覚を入り口にして、自分でも知らなかった「私」に出会うことがあります。

怒っている私。

怖がっている私。

頑張り続けている私。

誰かに愛されたかった私。

ずっと我慢してきた私。

どのパーツも、あなたの中で何かを守ろうとしてきた大切な存在です。

「こんな自分は嫌だ」と切り離すのではなく、

「この私も、ずっと頑張ってくれていたんだ」

と理解してあげる。

その積み重ねが、自分自身との関係を少しずつ変えていくことがあります。

IL FAROでは、心だけでも身体だけでもなく、その両方を大切にしながら、一人ひとりが自分自身とより安心してつながっていけるようなセッションを行っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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